ダイゴ視点 ケーキバイキングにはしゃぐ夢主と冷静なダイゴ
お皿にたっぷりと乗せられたケーキを前に{{kanaName}}は目を輝かせていた。 向かいに座るダイゴは胸焼けしそうな砂糖の山とそれに舌鼓を打つ彼女を交互に見ながらブラックコーヒーに口をつける。彼の取り皿にはフルーツたっぷりのタルトがひとつ、それは{{kanaName}}が美味しいと勧めてきたケーキだった。ダイゴがタルトにフォークを入れて一口食べる間に{{kanaName}}の大きく開けた口は絶え間なく動き、色とりどりの皿へ白い余白を増やしてゆく。 「んー、美味しい!」 普段の彼女ならダイゴがじっと見つめていたらそっぽを向いたり恥ずかしいと言って嫌がる素振りを見せるのだが、今はちらりともこちらを見ない。随分と前から楽しみにしていたケーキバイキングを前に、ダイゴの眼差しは些細なことのようだ。 そうしてぺろりとケーキの山を胃の中へ収めた{{kanaName}}は満足気に笑って立ち上がる。まさか、ダイゴが眉を顰めながら見守っていると軽い足取りでお代わりを取りに行く。よく食べられるな、ダイゴはまだ半分以上残っているタルトをつつきながら楽しそうにケーキを選ぶ{{kanaName}}を見守った。 *** 「そういえば」 二皿目もそろそろ食べ終わる頃、ダイゴはふと気になったことを口にする。 「いつもは食べすぎたら苦しいって言うのに今日は平気そうだね」 {{kanaName}}はプリンを食べる手を止め得意げな顔でダイゴを見る。待ってましたと言わんばかりににっこりと笑い「今日は沢山食べるからゴムウエストのスカートにしてきたの」と秘訣を答えた。 「……でも{{kanaName}}、ゴムウエストは甘えだからって僕の家に全部持ってきてなかったかい?」 ダイゴの指摘に{{kanaName}}の瞳が途端に泳ぎ出す。てっきり今日は特別だと言い返されるものだと思っていたダイゴはその慌てようにため息をついた。 「全部じゃなかったんだね」 「あの時点では全部だったというか……」 「買ったんだ」 「だ、だってこのスカートも可愛いでしょ」 確かに{{kanaName}}に似合っていて可愛らしいとダイゴも内心では頷く。しかし今の論点はそこではない。 何も言わずじっと目を合わせていると{{kanaName}}がとうとう耐えきれず視線を取り皿へと落とした。 「食べ終わったら予定を変更して僕の家へ行こう」 正論という名の小言を言われるのかと覚悟していた{{kanaName}}にとってそれは予想外の提案だった。なぜ、と顔を上げるとダイゴが口角を上げて口を開く。 「{{kanaName}}がどれだけ自分を甘やかしたか確認する必要があるじゃないか」 「やだやだ、困る」 まだ夏は先だから、と言い訳をして色々とサボっているこの体を見られては大変、と{{kanaName}}は何とか予定を元のショッピングに戻そうと駄々っ子のように嫌がり、あるいは必死に説得をする。けれどダイゴの意志は固くトクサネへ直行することは決定事項だった。 「……ヒドイ」 「きみの自業自得だよ」 「女の子は急には脱げないのに」 そんな恨み言をぶつけ、{{kanaName}}はあっと声を上げる。笑顔を絶やさないダイゴがますます笑顔になる。 「脱ぐ必要はないけれど、きみがそうしたいならつきあってあげるよ」 食べた分運動するのも大切だからね、笑いながら喋るダイゴはまるで悪魔のようだったと後に{{kanaName}}は恨みがましく口にした。