ダイゴと付き合ってる夢主
真夜中に目が覚めた。何の音もしない薄闇、気だるさが残る体、一人で使うには少しばかり淋しいベッド。無意識に手を伸ばして、あるはずの温もりを探す。けれど私の手が触れるのはシーツばかり、そこには誰もいない。 ぼんやりとした頭をもたげて体を起こす。カーテンが風になびいてゆらり揺れていて、閉めたはずのガラス戸が開いていた。ベッドの下に散らかる衣服の中からロングカーディガンをつまみ上げて羽織るとそちらへ歩む。 「起こしちゃったね」 人一人分開いたガラス戸からは夜の静かな風が流れ込んでいる。ガラス戸の先のベランダには私が探していた温もりの主がいて、視線が絡むと微笑んだ。満月のやわらかな月明かりがその銀の髪を煌めかせ、それはまるでおとぎ話に出てくる妖精のように艶やかで色香すら感じさせる。なんて綺麗、見惚れてしまって息をつくのさえ忘れてしまっていた。 「明日、早いんだろう」 ゆるく弧を描く唇、目が離せない。 私も隣に立とうとして、けれどガラス戸に映る自分の姿にはっとして足を止めた。そしてつい数時間前を思い出して身体の奥がまだ熱を帯びていることに気がつく。自覚をするとその熱はいたるところに飛び火して息が苦しくなる。 「僕はもう少し風に当たっているから」 おやすみ、私の劣情なんて見なかった振りをしてダイゴの視線は夜空で微笑む満月へと向けられる。消えない熱に、どろりと溢れる感情に、彼はゆるゆると首を振る。 「明日は友だちと映画を見るって楽しそうに話していたのは{{kanaName}}だろう」 そう、でも今は関係のない話。明日の映画も待ち合わせ時間もその後の予定も、今この熱を抑える理由にはならない。 「ボクの気も知らないで」 その時、私は彼が月光の中に隠したものを見つけた。夜風が攫い忘れた小さな熱、私の中にあるのと同じそれ。 「後で友だちには謝っておくんだよ」 返事の代わりの口付けは乱暴で甘美であって、ああやっぱりおとぎ話の妖精みたいだと、呼吸も忘れてその艶やかさに身を委ねた。