昼下がりのカフェにて

スイーツが好きな夢主と食べる姿を見るのが好きなダイゴ

 最近キンセツに出来たオシャレなカフェ、どのメニューも美味しいのは勿論のこと見た目がとても可愛くてポケスタにはこのカフェの写真が溢れている。そんな行列必至のカフェに来るのはこれで二度目で、初めても今回も向かいの席に座るのはダイゴだった。
「どれと迷ってるんだい」
 うんうんとメニューと睨めっこをしていたわたしをダイゴがくすくすと笑う。メニューを閉じたところを見るとダイゴはもう既に決めているんだろう。
「どれと、って言うか全部というか」
 どれも可愛くて美味しそうで一つに決められない。そう言うとダイゴはまたゆるりと笑う。待つのは嫌いじゃないよと微笑みながら言うのだけれど、待たせている側としてはニコニコとこちらに向けられる視線も焦る原因になるからこっちを見ないでいてほしい。
「気になるメニューはまた次の機会に頼めばいいんじゃないかな」
 確かにダイゴの言う通りだ、わたしは「これにする」とプリンを型どったイチゴのムースを指さした。

***

「ちょっと待ってね」
 わたしはポケナビを構えて一番映える写真を撮る。
 わたしの頼んだムースとダイゴの頼んだパンケーキ、それから調子に乗ってダイゴの腕を見切れるように画角に収める。匂わせも完璧だ、わたしは満足してポケナビを鞄へと仕舞う。
 それにしても。メニューの写真以上に高さのあるパンケーキに目を向ける。美味しそうな香りを漂わせるそれにはたっぷりとクリームが乗っている。そのクリームはマホイップの姿をしていてなんだか崩すのが勿体ない。
「食べていいよ」
 わたしの視線をどう勘違いしたのか、ダイゴがくすりと笑う。たしかにこのパンケーキも頼むか迷ったけれどダイゴより先に食べるのは申し訳ない。
 そういえば初めて来た時もこうやってわたしに先に食べるように言ってたっけ。あの時のクレープも頼むかどうか最後まで迷ったから、ダイゴが頼んでくれてラッキーだと思ったものだ。
「おいしい」
 パンケーキはふわふわで、クリームと一緒に食べるとさらに美味しい。わたしはもう一口切り分けるとそれをダイゴに差し出した。少し驚いた顔をしてゆっくり口を開いて、パンケーキはダイゴの口の中へと消える。ダイゴも気に入ったらしく、この前のクレープよりも随分嬉しそうな顔をして口を動かしていた。
「たしかに美味しいね」
 次にわたしが頼んだムースをすくう。それをダイゴに向けて「こっちも食べて」催促すると素直に口を開けたから食べてもらう。じっと顔を見つめていると視線に気がついたダイゴが微笑んだ。こっちはパンケーキほどの反応はなかった。
 わたしもムースに口をつける。まるで苺そのものを食べてるような濃厚さに驚き、程よい酸味のおかげで最後まで一気にペロリと食べしまいそうになる。パンケーキと一緒に食べるのも良さそうだった。
「パンケーキ、気に入ったならもっと食べていいよ」
 前回もそんな事を言っていた。その時はお言葉に甘えたけれど今回は首を振る。
「ダイゴが頼んだんだから全部食べてよ」
 このカフェ以外でもスイーツを食べることはよくあったけれど、このパンケーキほど喜んだ顔は見たことがなかった。いつも美味しそうに食べているけど今のダイゴは顔を取り繕う必要がないほど自然に笑っている。なんだかわたしまで嬉しくなってくる。
「また来ようね」
 流石に笑顔で食べるダイゴが見たいからとは言えなくて、誤魔化すように「まだ食べてないメニューがたくさんあるから」と言葉を続けた。
 わたしの言葉にダイゴが「もちろん」頷いた。