ご主人とアイツ

夢主のポケモン(ヤミラミ)視点
ダイゴに夢主を横取りされて不機嫌なヤミラミ

 オレのご主人は世界一だ。毎日帰ってきたらまず先に「いい子にお留守番できたね」とオレを撫でる。オレがご主人のカバンを持って行くとまた「ヤミラミは偉いねぇ」とにこにこ笑ってオレを撫でてくれる。こんなに毎日オレを誉めてくれるからご主人は世界一のご主人なんだ。
 ご主人はオレ以外にポケモンを捕まえてないから、オレがご主人の唯一のパートナーだった。前にご主人が「留守番、ひとりだと淋しくない?」と聞いてきたことがあったけどオレは全然淋しくなかった。家の中はご主人の匂いでいっぱいで、それだけでオレは幸せだった。他のポケモンでご主人の痕跡が消えるくらいなら今のままが良かった。だからご主人が新しいポケナビとかいうのでポケモンを見せてきても全部に首を振った。その時のご主人は「このカバー、実はダイゴとお揃いなんだよ」って嬉しそうに笑ってた。
 ダイゴ。オレはダイゴが嫌いだ。アイツのせいでご主人は帰るのが遅くなる。アイツがここに来たらオレはボールに入れられる。だから大嫌いだ。
 ダイゴはオレに美味しい石をくれる。でも嫌いだ。オレは分かってるんだ、オレに石をやるってのはここに来る言い訳に使われてるってことに。ここはオレとご主人の家で、オレ以外のオスの匂いは許さない。
「ヤミラミはダイゴのこと嫌いなの?」
 嫌いだ。でも、オレがアイツを嫌ったらご主人は悲しむ。今も困った顔をしてる。オレはご主人の笑った顔が好きだ。そんな顔は見たくない。
「ダイゴはあんなだけど、わたしの大事な人だからヤミラミにも好きになってほしいんだ」
 それはアイツ次第だ。ご主人の1番はオレだってことをちゃんとわきまえるなら認めてやってもいい。今のところそうは思ってないからオレも認めるつもりはない。
「あと分かってると思うけど、もしまたダイゴにケガさせたら1週間ボールから出さないからね」
 なんだって?! それはアイツが悪いんだぞ。オレのご主人にベタベタしたから。だから少し分からせてやろうとしただけだ。それなのにご主人はオレを怒った。あんなに怒られたのはあの時が初めてだった。それだけでもショックなのにあろう事かダイゴが「たまたま手が当たって引っ掻いたようになっただけさ」なんてオレをかばってきた。ダイゴなんかにかばわれるなんて最悪だ。しかも全然痛そうな顔もしなかった。何なんだアイツは。
「人に危害を加えるポケモンは、悪い子だからね」
 じろりと睨まれた。でも怒ったご主人はレアだからちょっとだけ得した気分になった。
「じゃあそろそろ出掛けるね、夜には帰ってくるから大人しくしてるんだよ」
 ぐりぐりと頭を撫でられた。ご主人はきっとまたアイツに会いにいくんだ。オレにはわかる。だってご主人がメスの匂いをさせているから。
 だからオレはアイツが大嫌いだった。