秘めていた想いを告げるダイゴと関係を変えたくない幼なじみ夢主
ダイゴ君とお酒を飲むのは今日が初めてだった。 小さい頃から知っている彼とお酒を飲むなんて何だか変な感じがして避けてきたのにダイゴ君ときたら素知らぬ顔でワインなんて持ってきて。それなら冷蔵庫の中身を適当につっこんだ煮物なんかじゃなくてちゃんとした料理を作ったのに、そういう所がまだまだお子様なんだから。 ダイゴ君の持ってきたワインは見るからに高級そうで、小さなアパートの一室で飲むには不釣り合いな代物だった。それでも口を付けてしまえばいつも飲んでいる安い缶酎ハイを呷るようにどんどんと腹の中へと収まってゆく。最初に感じた遠慮なんてすぐさまどこかへ消えてしまっていた。 「ボクら、もうとっくにお酒の飲める年齢なんだよ」 ダイゴ君がワイングラスの縁をなぞりながら呟く。長くて綺麗な指だった。でもわたしよりは太くてごつごつとしている。 「ボクは吸わないけれど、煙草だって問題ない」 指が縁から離れグラスのステムをそっと掴む。グラスがダイゴ君の口元に寄せられ、ごくりと飲み込んだ。嚥下にあわせて動く喉に視線が向く。わたしにはない喉仏の隆起が目に留まった。ダイゴ君と可愛らしく呼んでいた彼が、突然見知らぬ男性のように見えた。 「それに、」 ダイゴ君が言葉を切る。グラスを置いた手がわたしの方へと伸びて、グラスを握る手に重なった。ワインのせいでひどく体が熱い。 改めてダイゴ君を見てみると、君付けで呼ぶには少々格好よすぎる男性になっていた。幼い頃の、わたしの後ろを一生懸命ついてくる少年の面影は見当たらない。重ねられた手はいつの間にかわたしよりも大きく力強くなっている。わたしの中のダイゴ君が、正しい彼の姿に塗り替えられてゆく。 「それに、セックスだって誰にも咎められない」 わたしのダイゴ君はそんな風に獣のような瞳はしない。浅ましい欲望をわたしに向けたりはしない。 嫌だと振り払った手がワイングラスを倒す。勢いでテーブルから落ちたグラスは高い音を立てて割れ、床にガラス片とワインを撒き散らした。 「ボクはもう小さなダイゴ君じゃない、ちゃんとボクを見て」 立ち上がり身を乗り出したダイゴ君が再びわたしの手を取った。もう誤魔化せない、その手は紛れもなく男性の手だ。認めたくはないけれど、澄んだ瞳の奥に劣情を燃やしているのも紛れもない事実だ。そしてわたしも、どれだけ否定してもその熱に当てられ体の芯が疼いているのをなかったことには出来なかった。 それでも、それでもわたしは彼をダイゴ君として見ていたかった。彼だけは子供のまま、わたしが子供に戻れる場所で在り続けてほしかった。 「{{kanaName}}のことが好きなんだ。昔から、今も、これからもずっと」 もう片方の手がわたしの頬に添えられて否が応でも顔を上げられ視線が絡む。真剣な眼差しがわたしを貫く。在りし日の頼りない瞳はもう何処にもなかった。