スクールに通う夢主と知り合いのダイゴ
最近話題のそのチーズケーキ、すぐに売り切れてしまうから私はまだ食べたことがない。今日こそ、とスクールの帰りにお店に走ったけれどずらりと並んだ人の列に嫌な予感しかない。それでも一縷の望みに掛けて列に並ぶ。ここに並んだ全員がチーズケーキを買うとは限らないし沢山残ってる可能性だってある。まだ諦める必要はない。 「すみません、チーズケーキは完売しておりまして」 けれど、やはりと言うべきか。事前に注文を確認しにきた店員さんはとても申し訳なさそうな顔でそう言って、私はしょんぼり顔をどうにか隠して「そうなんですね」列から飛び出した。やっぱりスクール帰りなんかじゃなく休みの日の朝に来ないと買えないようだ。 「{{kanaName}}ちゃん、今帰り?」 はぁ、と大きなため息を吐いていたら後ろから声が掛かった。その声は、と振り返るとイケメンお兄さんのダイゴさんがにこりと笑っている。チーズケーキは買えなかったけど、ダイゴさんに会えたならまあいいか。 「来週テストがあるから寄り道しないで帰るって言ってたのは誰だったかな」 「これは寄り道じゃないもん」 私はあのチーズケーキを食べて英気を養って勉強するつもりだったもん、それは嘘じゃない。もちろんテスト勉強が嫌だっていう気持ちもあったけれど。 ダイゴさんは私の言い訳を静かに聞いていたかと思えば、さっと右手に持っていた荷物を差し出した。あっ、それは! 「チーズ、苦手じゃないよね」 私が気になって気になって最近毎日行列に並んだチーズケーキをなぜかダイゴさんが持っている。 「これ食べて勉強頑張るんだよ」 こくこくと頷けばぽんぽんと頭を撫でられて。いつもなら子供扱いしないでよと怒るところだけどチーズケーキでご機嫌だった私は今日だけはその扱いに目をつぶる。 「私たくさん食べちゃうからね」 とっても楽しみにしていたからきっと我慢できなくて半分こは出来ないに違いない。だからこうやって先に伝えておけばきっと許してくれるはず。だってダイゴさんはいつも私に優しいんだもの。 ところがダイゴさんはきょとんとした顔で私を見つめ、そして困った風に眉を下げた。 「全部食べて構わないよ」 「全部食べたら太っちゃう!」 ダイゴさんの左手を取って歩き出す。もしかしたら用事があるのかも、なんて少しだけ心配になったけれどやれやれと諦めた風に笑うダイゴさんは大人しく隣を歩いている。 次のテストはきっと良い点が取れる、まだろくに勉強もしていないけれど、強く確信していた。