ダイゴと秘密の社内恋愛をする夢主が飲み会で酔う
隣のテーブルから明るい声が響いてくる。ジュースのようなカクテルに口を付けながら横目で賑やかな姿を盗み見る。ダイゴさんが美人で有名な社員と楽しそうに笑っていた。普段はそんな素振り見せないのにお酒が入ると気が緩むみたいで、美人に言い寄られてずいぶん嬉しそうにしている。美人もそれに気付いててダイゴさんの隣をしっかりとキープして、じわじわと体を近付けている。ダイゴさんのばか、少しお酒を飲んだくらいで絆されちゃって。きっとわたしが居ることも忘れてる、ダイゴさんのばか。 ごくりと甘いだけのカクテルを飲み込む。もう隣のテーブルは見ない。ダイゴさんなんて知らない。美人でスタイルも良くて胸の大きいその人と仲良くしてたらいい。イケメンで御曹司でチャンピオンのダイゴも所詮男なんだな、なんて影で言われたらいい。わたしはわたしで好きにするから。 隣の先輩からどんどん勧められるお酒を言われるままに飲んで、時々視界の端にダイゴさんが入り込む度に先輩の腕に抱きついた。わたしはダイゴさんとは違って、たとえ付き合ってる事を隠してても不用意に異性には近づかない。甘えるのは同性の、毎日旦那さんの惚気を話す先輩と決めている。恋人に言えないことは絶対に、しない。 *** フラフラする足でお手洗から帰ってきたらわたしの席に後輩くんが座っていた。じゃあどこに座ろうかと辺りを見回していたら後輩くんと先輩が席を詰めてくれたから、三人で二人分のスペースに座ることにした。身体が触れるのはあまり心地よいものじゃなかったけれど、相手はよく知る後輩くんだからさほど不快にはならなかった。 しばらく三人で飲み交わしていたら、わたしの鼻がとある匂いを嗅ぎつけた。最近ダイゴさんがよく付けている香水と同じ匂いがすぐ隣からしている。 「あっ、分かりますか!」 後輩くん曰く、尊敬する人と同じ香りの香水を偶然見つけて値段に驚きながらも迷わず買ったんだとか。やっぱりあの香水高いんだ。ダイゴさんは値段でモノの価値を判断する人ではないけれど、気に入って使うものはやっぱり質の良い高いモノなんだ。今日もそれを付けてるのなら、あの美人は金の匂いも嗅ぎ取ったに違いない。高級ブランドばかり持ち歩く彼女なら分かるに決まってる。 そういえば今もまだダイゴさんはあの美人にデレデレしてるんだろうか。少し気になって視線を向けようとして、やっぱりやめる。わたしはわたしで好きにすると決めたんだ、見ない方がいい。 *** そうやって飲んだり食べたり話していると段々とまぶたが重たくなってきた。目を閉じてる時間が長くなってきて、あくびの回数も増えてくる。 「大丈夫ですか」 吸い込んだ空気にはアルコールとあの香水の香りがたっぷりと染み込んでいる。なぜかダイゴさんが丁寧な喋り方をしている。大丈夫じゃない、今すぐ寝てしまいそう。だから、少し肩を借りてしまおう。 「{{kanaName}}、それボクじゃないよ」 右の方へ傾けていた体が左へと引き寄せられた。女性物の甘ったるい香りが鼻を掠める。これはわたしの苦手な香りだ。 「そろそろボクらは帰るよ」 自分で歩けるかい? ダイゴさんがいつもよりちょっと格好をつけた顔で笑っていて、不覚にも時めいてしまう。 ダイゴさんに支えられながら立ち上がると興奮気味の先輩と目が合って「今度詳しく話を聞かせなさいよ」とちっとも業務とは関係ない業務命令を下される。一方後輩くんは顔色が変だし、ダイゴさんにちょっかいをかけていたあの美人は不機嫌そうにジョッキを呷っている。他の人も何かおかしくて、今までの和気あいあいとした雰囲気がどうにもおかしくなっている。それがダイゴさんが付き合ってる事をバラしちゃったからだと気づいた時には見知らぬベッドの上に押し付けられていて、刹那、「悪い子にはおしおきが必要だね」と唇を塞がれた。