ダンデに抱き枕にされる ※(内容に一切関係ありませんが)クリア後の話です
ダンデくんの家のベッドは大きくて寝心地がとても良い。なんたってバトルタワーのオーナー様なんだもの、びっくりするような値段の高級寝具なんだろう。 そんなダブルベッドにわたしはパジャマ姿でごろりと横になってスマホでダンデくんの試合動画を見ている。本物のダンデくんはお風呂の最中だから上がってくるまで動画のダンデくんを堪能しようという訳だ。 ――でも、本当なら今頃一緒にお風呂に入っていたはずなのになぁ。 ダンデくんはやっと付き合えたというのに恋人らしい事を殆ど全くしてこない。お風呂は「キミが先に入るといい」と言われたし、バスタオルを巻いただけの姿を見せても「パジャマはこれを着てくれ」と無視された。この調子だと今日も何もないのかもしれない。せっかく張り切って下着を選んできたのに。 スマホの中のロトムがウトウトし始めた頃、ようやくお風呂から上がったダンデくんが寝室にやって来た。湯上りで火照った肌は何だか色っぽくて思わずドキリと胸が高鳴る。 「キミは本当にオレが好きなんだな」 ダンデくんが勢いよくベッドに乗り上げスマホを覗き込んだ。ダンデくんのダイブでベッドが揺れて、それに驚いたロトムが半分寝ぼけた声を上げて動画の再生がストップした。ちようどダンデくんのアップのシーンだった。 「ロトムも眠そうだしオレ達も寝よう」 覚悟はしていたけど、やっぱり今日は健全に一日が終わりそうだ。つるりとしたシーツが乱れることも、入念に洗った身体が汗を掻くこともないんだろう。別にしたいから泊まりに来た訳でもないんだけど、あんまり無関心だと少し悔しくなる。でもダンデくんにその気がないなら仕方ない。 「おやすみダンデく……ちょ、なっ何、」 ふかふかの布団を首まで被って目を瞑った瞬間、身体の自由が奪われた。何事だと慌てて目を開けるとダンデくんの胸板が目に飛び込む。ダンデくんが私に抱き着いている。 「以前キテルグマに抱き着かれた事があるんだが「え?」その気持ちが少し分かったよ「ダ、ダンデくん?」これは離したくないな!」 ぎゅう、とダンデくんが遠慮なく全身を締め付けてくる。頭を抱えられ、背中に腕を回され、両足で下半身を挟まれて、いわゆる抱き枕にされていた。 ぴたりとくっついたダンデくんからは私と同じ香りがして、まだ火照った肌からは熱が伝わってくる。ドキドキと期待に胸が高鳴ってゆく。私はぐいと顔を上げて、 「今日はぐっすり眠れそうだ」 心底安心して目を瞑るダンデくんにたちまち劣情は霧散した。悔しすぎることに腰に当たるソレにも大した変化はない。あーあ。私もダンデくんの背中に両手を回すと心地よい温もりの中で目を閉じた。 だから朝目覚めてもまだ抱き枕として捕らえられ……むしろ昨晩以上にぎゅうっと抱き締められ身動き一つ出来ないのには本当にびっくりした。ぼんやりした意識がこの異常事態に思わず一瞬にして覚醒して、押し付けられた胸板からどうにか顔を離して「ダンデくん」起きてるのか眠っているのか分からない彼の名前を呼ぶ。と、体がぴくりと反応したような気がする。ダンデくんの意識は少なからず目覚めているようだ。 「おはようダンデくん、あのね、ちょっと腕を離し――」 「メロメロ状態のポケモンは時々動けなくなるんだ」 「え?あ、そう、だね?」 突然、ダンデくんが口を開いた。朝からポケモンの話だなんて、さすがダンデくんだ。 「こんらんするとトレーナーの指示に従わなくなる」 「うん、困っちゃうよね……あの、ダンデくん?」 ダンデくんの両腕が私の体をぎゅうぎゅうと締め付ける。しかも両足で腰も押さえられてて私の体は完全に自由を奪われている。 そしてダンデくんがもう一度足で私を締め付けた時、私は気づいてしまう――ポケモン馬鹿で寝ても覚めてもポケモンの事しか考えないダンデくんが、今は私の事で頭がいっぱいになって興奮を隠すことも出来なくなっている事に。腰に感じるソレが、瞼を閉じた時よりも何倍も存在を主張してすっかりその気になっている事に。 「ポケモンもオレも、ずっとがまんするのは…、無理だ」 部屋に広がる朝日がダンデくんの瞳を輝かせる。黄金色の瞳が怪しく光って私に迫る。 「つまり、」 「……つまり?」 「キミは今日このベッドから出られないって事だ」 正直、どうしてダンデくんがその気になったのかちっとも分からない。昨夜はそんな気配一つもなかったから、本当に突然すぎる。 だとしてもダンデくんが珍しく彼氏の顔をして、雄の目をしているのは紛れもない事実で。私は鼻息を荒くしながらも慎重に手を動かすダンデくんの頬にキスをして、昨日より熱を持った首に両手を回した。